３.母と私とピアノ

幼い頃の習い事は、ほぼ親の意向が100%でしょう。
姉は、ピアノに水泳に習字にそろばん。 私は、ピアノに水泳。
たくさん習い事をする姉がうらやましくてあれやりたいこれやりたいと訴えましたがお前は飽きやすいからと制限されてました。
その中で特に姉と共通の習い事であるピアノは、母親の思い入れが強かったように思います。
ピアノ、今思うと習わせるのも結構大変ですよね。
先ず楽器として高い。
場所も取るし、とんでもなく重い。 最初に業者を呼んで設置してもらうなんて、大事じゃないですか。
しかも毎年調律師を呼んで調律も必要。
でも、ピアノを弾いている私の姿を母親はよく嬉しそうに眺めていました。
自分は全く弾かないのに私が練習していると洗い物の手を止めて子ども部屋の入り口まで聞きに来たり、「今の曲、もっと弾いて！」と言われて繰り返したり。
母親が喜んでくれるから子どもの私も弾くのが楽しい。

正直にいって、うちの母親はかなり独特でひねくれた性格をしていて、例えば母親の日に花をプレゼントをしても「花じゃないものが良かった」と喜ばない。
そんなひねくれた母親が「凄いわねぇ」「今の曲いいわねぇ」と素直に喜んでくれるというのは、子ども心に凄い嬉しかったし充足感を与えてくれました。